グッピーの腹水病
今回はグッピーに見られる病気の一つである腹水病について解説していきます。
以下の症状に当てはまる方は腹水病の可能性が高いので要注意です。
・グッピーのお腹が不自然に膨らんでいる
・グッピーが糞をしない&糸のような糞をする
・お腹の大きい雌が中々出産しない
腹水病とは?
腹水病は内臓疾患の一つです。
内臓が炎症を起こすことで、名前の通り体内に水がたまってしまいます。
また消化器官が機能しなくなり、消化能力が著しく低下します。
治療が非常に難しい厄介な病気です。
原因
腹水病の原因は一般的にエロモナス・ハイドロフィラ(運動性エロモナス)の感染によるものと言われています。
しかしエロモナス菌は常在菌(常に水中に存在)なので排除することはできません。
唯一の救いは尾腐れ病などとは違い、伝染性の病気ではないことでしょうか。
常在菌に感染するということは個体の抵抗力が低下していることが原因であると推測できます。
この項では感染の原因となる様々なファクターを解説していきます。
1.ストレス
腹水病に限ったことではありませんが、グッピーが体調を崩す原因としてストレスの占めるウェイトは大きいです。
代表的なものを挙げると…
・個体の新規導入
飼育環境の変化は相当なストレスが掛かっているものと思われ、既存の個体でも水槽間の移動は要注意です。
・急激な水温の変化
水合わせの時に温度合わせをすると思いますが、急激な水温の変化もかなりのストレスになります。
我が家はエアコンで水温一括管理ですが、冬場や季節の変わり目は水温が安定せずコンディションを落とすことが多いです。
周りのブリーダーさん宅でも同じようで、それだけ水温差はストレスになっていると考えられます。
・急激な水質の変化
温度が同じでもPHが異なる水槽にポチャンなどをするとストレスを与え、PHショックなどの即効的な症状がなくとも個体の抵抗力を低下させます。
・網で追っかけたり、狭い場所に隔離するなどの行為
しつこく網で追いかけたり、産卵箱への隔離なども少なからずストレスを与えます。
ストレスを与えないようにスムーズに行いましょう。
2.古い餌
賞費限の過ぎた餌や、酸化して臭いの変化している餌はあげない様にしましょう。
腹水病にならなくとも体調を崩す恐れがあります。
3.個体の虚弱性
血の濃くなった系統やRRE.Aやルチノーなどの個体は虚弱な個体が生まれることがあります。
虚弱と言っても様々ですが、病気への抵抗力が弱かったり内臓が弱いことがあります。
4.水質の悪化
言わずもがなですが、水質の悪化は個体の体調を崩させますし、底砂の汚れなどは病原性の細菌を繁殖させてしまいます。
腹水病の症状
腹水の症状は冒頭で述べたように、グッピーのお腹が異常なまでに膨らみます。
やっかいなのが出産前の雌と酷似していることです。
出産前の雌とは明らかに膨らみ方が違うのでわかる方には見分けがつきますが、グッピーの飼育が初めてだったり不慣れな方は間違えてしまう可能性があります。
初期症状
腹水病の初期症状では腹部が膨らむ以外に目立った症状は見られません。
餌もねだって食べますし、気づくのは難しいです。
しっかりと糞をしているか観察してください。
中期症状
中期になるとグッピーの活性が低下し、一か所にとどまることが多くなると思います。
また餌食いも悪くなり、腹部はより一層膨らみます。
腹水病は治療困難な病気ですので、この頃には既に治療は難しい段階です。
餌は控えるようにと言われることが多いですが、消化器官が弱っている為、絶対に餌を与えてはいけません。
与えた餌を消化できずに症状を悪化させるだけです。
末期症状
サムネの雌が末期の個体です。
末期ではグッピーのお腹はパンクしそうなまでに膨らみ無残な姿となります。
また、消化器官が機能しなくなることで、白い糸のような糞をします。
こうなると治療は絶望的で死を待つだけとなってしまいます。
初期の間に早期発見することが望ましいです。
仮に末期になってから気づいたとしても、少しでも原因や治療を施し次に活かせるように学ぶべきでしょう。
治療法
治療が非常に難しい腹水病ですが100%治らないというわけではありません。
何もしないよりはダメ元でも治療も試みることをオススメします。
何事も経験です。
塩浴
グッピーと言えば耐塩性の高い魚ですから、まずは塩浴です。
初期段階であれば殆どの病気であれば治すことができます。
先述の通り腹水病は伝染する病気ではありませんから、水槽丸ごと対処する必要はありません。
水槽で塩浴すると濾過ができなくなってしまいますから、まずは病気の個体を1Lほどのプラケースに隔離してください。
次に塩を0.5%(1Lにつき5g)の濃度になるよう入れてください。
一度に入れても問題ありませんが、溶解させるのではなく塩が残るように入れるとグッピーへの負担が少ないです。
グッピーに元気があるなら最終的に0.7%程度にするのがオススメです。
浸透圧調整を楽にして負担を軽くするための塩浴ですから、なるべくグッピーの体内塩分濃度に近くした方が効果的です。
薬浴
本来、細菌感染症へ絶大な効果を誇る薬浴ですが、腹水病に対してはイマイチ効きにくいです。
ヒレやエラなど露出部でなく、内臓ですから薬が届きにくいと思われます。
それでも全く意味ないということはないですから、薬浴するのであれば薬効の強いグリーンfゴールド顆粒がオススメです。
グッピーがかかる病気の8割以上は塩とグリーンfゴールド顆粒で治せるほど抜群に効くので常備しておくことを強くオススメします。
ココア浴
申し訳ありませんが私はココア浴は行いません。
自己責任でお願いします。
まとめ
腹水病は難しい病気です。
頻発する病気ではありませんし、飼育に問題がなくても発生してしまうことがほとんどです。
我が家には常に1000匹以上のグッピーがいますが、腹水病は滅多に起こりません。
きっと、このページを読んでくださっている方の中には腹水病に悩まされている人もいるとおもいます。
不幸ではありますが貴重な経験と思って病気に向き合っていただけたら幸いです。
日々の観察を怠らず早期発見&治療ができるよう心がけましょう。