シルバーグラスコブラ@ハズレ雌と仔の表現
今回は我が家で維持しているシルバーグラスコブラから、種親に"相応しくない"と思われる雌から仔を採り、仔の表現を確認しました。その記録となります。
種親の選考基準
市場に出回っているグラスコブラにはスポット表現の雄も多いですが、尾の構成は柄が太く迷路状になっている方が一般的には良しとされていると思います。
グラス(コブラ)の雌親にはなるべく尾全体が黒みがかっている個体を使うべきと認識しており、所謂スポット表現が強い雌は適していないと考えています。もし、そのような雌を維持に用い続けた場合は、いずれは雄もスポット表現になってしまうことが予想されます。
尾柄の濃さにも個体や系統差がありますが、私は真っ黒に近い雌を優先的に選んでいます。また、墨汁の足りない筆で描いたような、掠れたり薄い柄の雄は我が家では一発アウトにしています。
普通のグラスコブラならそれなりに素直に反映されるのですが、この系統(品種?)では中々理想の個体が作れずにいます。
我が家ではグラスコブラを複数維持していますが、このシルバーグラスコブラは尾柄や尾先が作りずらく同胎では雌は下地が水色のスポット表現に傾きやすいと感じています。
なにより柄が極端に流れやすいのでシビアに選別維持してなんとか3年目に突入したのですが、裏を返せばハズレ雌を引かずにここまで来れてしまっていました。
もし、ハズレを選んでしまった場合の崩れ具合を確認したかったので、今回は敢えて意図的に失敗をしてみることにしました。
勿論、ちゃんと別ラインで維持しているので一代限りのチャレンジです。
種親
雄側には手持ちでなるべく良い個体を用いました。
雄の選択はどう転んでも間違えないと思っているので、純粋な、雌の選択ミスを想定しています。
雌にはこの表現を用いました。
だいぶ累代を重ねたので表現が固定されてしまい、大崩れしているような雌が出てくれないのですが、同胎の中では一番柄の入りが悪い個体です。
念のため補足しておきますが、今回のダメというのは尾柄の表現で尾の形や体型など基本的な部分ではありません。
仔の表現
記録した個体は雄のみです。
また、シルバーボディが遺伝していない個体は選別対象なので今回の対象外としました。
まずはこちら。雌の尾の根元は特にスポットになりやすいのですが、雄には影響が見られずに寧ろ潰れ気味です。やはり尾の根元はYの影響が強いのだと思います。
柄は相変わらず細かすぎますが、以外にもスポット表現にはなりませんでした。
二匹目。ちょっとやそっと、ましてやたったの一代で表現が大きく変化することはないのでしょうか。ただ、尾先の柄が均等に繋がりすぎている所は雌そっくりだと思います。
3匹目。流れた柄が繋がり気味ですが、少しスポットになっているような気がします。
この記事のテーマからは逸れますが、尾先まで柄が入ってしまうとやはり尾先が櫛のようになってしまいますね。
4匹目。柄が均等なのは残念ですが、この系統にしては明らかに尾柄が太い個体が出てきました。
まさかこんな個体が出るとは思っていなかったので意外です。
5匹目。グラスコブラは黄色くない個体も多いですが、真っ白な個体が出てきました。
うーん…ここまで白いとアイボリーを疑ってしまいます。他の系統でもこんな白い色彩はちょこちょこ出てきますが…。
ここから6匹目が連番で続きます。
こちらは更に真っ白です。雌の尾の下地が水色の個体を選んだので反映されているのかもしれません。いずれにせよ今までなかった表現です。
やはりアイボリーなのでしょうか?これだけ累代してきて今更ここで引いたと…。
尾柄はとんでもないことになっているのでノーコメントです。
8匹目。こちらも何枚か貼ります。
サムネイルの個体です。うーん、こちらは寧ろ悪くないです。
白い色彩については今は断言出来ないので追及しないことにします。
余裕があれば家のアイボリーと掛けて確認してみます。
実はまだ終わりではありません。興味深い個体がもう一匹出てきました。
なんとレースコブラが出てきました。
今までもコブラの転座というのは何度か経験しているのですが、何れも雌のXに転座してF2で発生するパターンでした。一代でこんなことがあるんですね。
シルバーボディは遺伝しませんでした。
新しいことを試すと色々な発見があるのでとても勉強になります。
今回の検証で良くない雌を用いても一代では大きく崩れないことが分かりました。雌の良し悪しなんて飼育者が勝手に推測しているだけで実際採ってみないと分からないというのもありますけれど。
柄物は難易度が高いと言われますが、ランダム性が高い分、余程崩れない限りはある程度立て直しが効くんじゃないかとも思いました。
考えてみればこの系統も一度崩壊しかけてから、直系1年半でだいぶ良い所まで戻ってきています。
また、系統を構築してから累代が浅いほど立て直しは効くと思います。
あまり煮詰めすぎてしまうと表現が良くも悪くも固定されるので、問題が生じた時に修正づらくなります。表現が似た個体は持ってる遺伝子の組み合わせも似たようなものなので近交弱勢も早いんじゃないかと。
一方、色々な表現で交配を行えばバラツキが出るものの、様々な表現を拾えるので大崩れはしないと思います。
一長一短なので上手く使い分けたいですね。
私はラインブリードやバッククロスをして維持するように心掛けています。
話が長くなってしまいましたが今回はこれにて。