グッピーが脱肛・脱腸する原因と治療法
グッピーを飼育していると、稀にお尻から管のような内臓が出てしまうことがあります。
これは俗に脱肛・脱腸などと呼ばれ、グッピーを沢山飼育していると、いつかは見ることになる症状の1つです。
初心者さんでも、飼っているグッピーが脱肛・脱腸を引き起こしてしまうこともあるでしょう。
今回はそんな方のために、グッピーが脱肛・脱腸する原因と治療法について解説していきます。
グッピーの脱肛・脱腸とは
グッピーの脱肛・脱腸とは文字通り、管状の内臓が体外に露出してしまう症状です。
明確な名称があるわけではありませんが、主に脱肛・脱腸と呼ばれます。
脱肛・脱腸自体はあくまで内臓が体外に露出されるだけであり、致死性などはありません。
しかし、内臓が飼育水に晒される為、水質が悪いと水カビ病などを引き起こす危険性があります。
水カビ病についてはこちらで解説しています。
グッピーが脱肛・脱腸する原因
グッピーが脱肛・脱腸する原因は基本的に内圧が高まったことによるものです。
つまり、何らかの原因でお腹の中がパンパンになり、圧力に耐えられなくなって総排泄肛から脱肛・脱腸してしまうということですね。
グッピーが脱肛・脱腸する具体的な原因について詳しく解説していきます。
先天性の脱肛・脱腸
生まれつき、脱肛・脱腸を引き起こしていることがあります。
体感になりますが、確率的には数百~千匹に一匹程度で、超珍しいという程ではありません。
先天性の脱肛・脱腸では、排泄が正常にできる場合が多く、生存には問題ない事も多いです。
また、遺伝的に弱体化したからといって、脱肛・脱腸した稚魚が多く生まれるという事はありません。
しかし、そのような個体を繁殖に用いた場合はこの限りではないかもしれません。
念の為、親にするのは避けた方が良いでしょう。
産仔による内圧
産仔の近くなったグッピーは孵化した稚魚でお腹がパンパンになり、内圧がかかっている状態。
その際の内圧に耐え切れず脱肛・脱腸してしまうことがあります。
このケースでは脱肛・脱腸した状態で産仔を行い、産仔後には引っ込む事が多いです。
稚魚詰まりのリスクがある為、一概に安全とは言えませんが、治る見込みは高いです。
エサの与えすぎ
グッピーには満腹中枢がない為、エサを与えただけ食べてしまいます。
通常はお腹がパンパンになるまで与えても、消化しきれずに排泄されます。
しかし、稀にエサの与えすぎで内圧が高まって脱肛・脱腸を引き起こしてしまうことがあります。
食べすぎが原因の場合では、排泄が終われば引っ込む事も多いです。
腹水病による内圧
腹水病とは腹水がたまる病気です。
腹水病についてはこちらの記事で解説しています。
腹水病に罹ったグッピーは、お腹が破裂しそうなほどパンパンに膨れ上がります。
腹水病では非常に強い内圧がかかるため、末期症状になると脱肛・脱腸を引き起こすことがあります。
また、腹水病は致死性が非常に高く、このようなケースでは脱肛・脱腸の治療以前に、腹水病で死んでしまうことが多いです。
グッピーが脱肛・脱腸した際の治療法
グッピーが脱肛・脱腸を起こした場合、飼育者が直接治療を施すことは残念ながらできません。
暫く経てば勝手に治ることも多い為、二次感染を起こさないためのケアがメインとなってきます。
水質維持の徹底
まずは水カビ病などに感染しないように、綺麗な水質維持を行いましょう。
飼育水が汚れていれば水換えを行います。
この際に汚れを巻き上げてしまうと危険な為、プロホースのような器具で汚れを吸い出すとより安全です。
心配であれば粘膜保護剤を使用しても良いでしょう。アクアセイフのようなカルキ抜きも出来るタイプが便利です。
数日間の絶食
エサの与えすぎが原因と考えられる場合、治るまで絶食を行うことになります。
一週間程度の絶食で様子を見ても治らない場合、ブラインシュリンプなどの消化しやすい飼料を少量与えてください。
エサを与える前には、しっかりと糞が出せている事を確認しましょう。
排泄が出来ていればエサを与えても問題ありません。
しかし、排泄が確認できない場合や消化不良を起こしている場合、極限までエサを絞って経過を見ていくことになります。
このケースでは腹水病との併発も考えられます。
薬浴
メチレンブルーによる薬浴が出来れば、水カビ病の感染リスクを限りなく抑えることが出来ます。
水槽で薬浴しても良いですが、濾過や水草へ影響を与えたくない方は小さなプラケースに隔離して薬浴を行うと良いでしょう。
メチレンブルーは薬効が控えめな薬ですが、感染予防や軽い病気の治療薬として何かと役に立つ場面が多いので、常備しておくと良い薬の一つです。
何でもかんでも強い薬ばかり使ってしまうと耐性菌などのリスクもありますので、適切に使用してこそ本来の効果が得られます。
まとめ
今回はグッピーの脱肛・脱腸について解説しました。
この症状は飼育方法に非がない事が殆どです。
しかし、生き物である以上トラブルを避けることはできません。
飼育者として責任を持ち、健康に長生きできるよう飼育してあげましょう。