【初心者向け】ブリーダーが教えるグッピー稚魚の育て方
グッピーは熱帯魚の中では飼育しやすく、繫殖もしやすい魚です。
産まれてくる稚魚のサイズも大きく、育てることも難しくありません。
初めての繁殖にこれほど適した熱帯魚は他にいないといってもよいでしょう。
しかし、繁殖にチャレンジしたものの、稚魚を育てられずに挫折してしまう人も多くいます。
グッピーの稚魚の育成に失敗しないためには、正しい知識、そして育成の流れを知っている事が重要です。
今回は「グッピーの稚魚が産まれた!でも初めての繁殖で育て方が分からないよ~」という方の為に、グッピーブリーダーの私が稚魚の育て方について解説していきます。
グッピーの稚魚が産まれたら
グッピーの成魚は稚魚を捕食します。
その為、まず如何にして稚魚を保護するかという点が1番重要です。
まだ稚魚が産まれる前であれば、まずは親魚を産卵ケースに隔離しましょう。
グッピー専用の産卵ケースは底がスリットになっており、産まれた稚魚のみが落ちて隔離される構造になっています。
適切に使用することで、産まれたばかりの稚魚を成魚から守り、そのまま育成ケースとして使用することが出来る大変便利なアイテムです。
また、グッピーが稚魚を産むタイミングについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
もし、水槽内で稚魚を産んでしまったら、食べられてしまう前にプラケースや産卵箱に稚魚を移動させましょう。
産仔中のメスがいれば、一緒に産卵箱へ移動させます。
稚魚を網で掬わなければならない場合、産まれて間もない稚魚はまだ体も弱いため、網でそっと優しく掬ってください。
網の枠部分にも挟まりやすいため、注意が必要です。
さて、グッピーの稚魚を育てる方法は2つあります。
1つ目は稚魚のみを隔離して育てる方法。
2つ目は親魚と同居させたまま育てる方法です。
それぞれにメリットがありますので、下記で解説していきます。
稚魚を隔離して育成
産まれたばかりの稚魚は泳ぐのが苦手なため、捕食されるリスクが高く、餌取りも苦手です。
そこで稚魚だけを隔離して育てることで、捕食のリスクをなくし、エサを確実に与えることができます。
この方法は稚魚を確実に育てられる点と、満遍なくエサを与えられるため立派に育てやすい事がメリットです。
グッピーブリードは勿論のこと、カジュアルに飼育する際でも最善の育て方といえます。
デメリットは専用のスペースが必要になる事です。
しかし、稚魚の飼育スペースとしてそのまま使える産卵ケースや、専用のアイテムを使うことで、殆どデメリットにはなりません。
フローティングネットを使うことで親魚と同じ水槽で安全に育てることが出来ます。ただし、水質の管理にはより一層の注意が必要です。
親魚と同居させて育成
産まれた稚魚をなるべく手間をかけずに育てたいという方も多くいらっしゃるようです。
そんな方は産まれた稚魚を放っておき、親魚と一緒に飼育するスタイルで育てると良いでしょう。
そもそも、グッピーの稚魚は産まれたばかりでも、成魚が近づいたり捕食を行おうとしたら、きちんと逃げます。
逃げ場がなかったり、追いつめられた際にだけ捕食されてしまうということですね。
障害物が多く存在している水槽であれば、稚魚は生き延びながら成長することができます。
つまり水草を茂らせた水槽であれば親魚と同居させたままの飼育も可能ということです。
この方法では手間こそかからないものの、多少の犠牲には目をつむることになります。
障害物がどんなに多くあっても、運悪く鉢合わせたり、寝ている状態を捕食されたりなど、捕食のリスクは0になりません。
また、成魚のグッピーにエサを取られる為、成長にむらが出る可能性もあります。
エサを与える際は稚魚がちゃんとエサにありつけているか、確認するようにしましょう。
生後1週目までの育て方
産まれたばかりの稚魚はお腹にヨークサックと呼ばれる栄養袋を持っており、1日程度はエサを与える必要がありません。
※卵胎生と呼ばれる特殊な繁殖形態の為、ヨークサックが殆どない状態で産まれてくることもあります。
また、産まれて間もないグッピーはあまり上手に泳げません。
底にべったりと付いている事も多く、最も捕食されやすい期間です。
基本的にこの期間は隔離して育てた方がよいでしょう。
この時期に最も気を付けなければならないのは、針病の発生です。
針病にかかったグッピーの稚魚は尾びれの先が癒着し、針のように細く尖ります。
針病と聞くと病気の1種に思えますが、正しくは体調を崩したことによる尾びれの先細り症状です。
これは体調を崩した成魚のグッピーが尾びれを畳むことと同義だと考えています。
グッピーの繁殖にチャレンジしたビギナー達を幾度となく苦しめてきた症状の1つです。
針病はエサを全然食べられていなかったり、水質が極端に悪いと発生するリスクがあります。
また、体調を崩したグッピーと同居していると稚魚も針病にかかりやすくなります。
親魚と一緒に飼育する際は親の健康管理も大事ということです。
特に体調を崩した状態の親から産まれた稚魚は高確率で針病になりますので、グッピー達の健康管理は怠らないようにしましょう。
また、死産だったり、産まれて間もなく死んでしまう稚魚もなかにはいるでしょう。
先天性の重い障害を持っている稚魚もおり、それは仕方のないことです。
さて、生後1週目までの育て方に戻ります。
産まれたばかりの稚魚は小さいため、プラケースや産卵ケースでの飼育が充分可能です。
産卵ケースで産ませてそのまま育てる場合、まずは水を換えるか循環させた方がよいでしょう。
産後間もないケース内は親の腹水で汚れている事があるからです。
また、グッピーは稚魚といえど水質の悪化にはめっぽう強い為、PHと温度があっていれば換水しても全く問題ありません。
小さいケース内は非常に汚れやすいため、水質が悪化した際は適宜換水を心がけるようにしてください。
親魚と一緒に飼育する際は、稚魚が捕食されていないか毎日の生存確認を忘れてはいけません。
日に日に数が少なくなっていくようであれば、水草や障害物を増やすか、隔離飼育を検討してください。
エサの与え方
産まれたばかりの稚魚は口が小さく、大きなエサを食べることが出来ません。
通常の飼育であれば稚魚用の人工飼料を使ってください。
熱帯魚フードの王道「テトラミン」の稚魚専用飼料です。エサが色々あってわかないよという方には、間違いのないこちらをおすすめします。
立派に育ってほしいとお考えの方はブラインシュリンプを与えるべきです。
専用の道具を使って卵をふ化させ、孵化したブラインシュリンプ与えます。
ブラインシュリンプは人工飼料に比べて栄養価・嗜好性が段違いで、グッピーのブリードには欠かせない飼料の1つです。
稚魚の間にブラインシュリンプを与えたかどうかで成長速度や体格に雲泥の差がでます。
また、ブラインシュリンプが使えない方の為に殻向きのブラインシュリンプも販売されています。
これはそのまま与えられる飼料で、嗜好性は劣るものの栄養価はブラインシュリンプと同等といえます。
上手く与えることが出来ればブラインシュリンプに匹敵しうる飼料です。
また、エサの種類に関わらず、稚魚時にどれほどエサを食べれたかで今後の成長に大きく影響を及ぼします。
稚魚は消化管が短く、エサの吸収と排泄が非常に早いです。
しかも、胃袋を持っていないため、食いだめもできません。
そのため短時間で直ぐにぺこぺこの空腹状態。
どのようなエサを使うにしても1日に回数を多く与えるようにしましょう。
生後2週目までの育て方
生後1週間を無事に過ごせれば、安心サイズになったと言えます。
最初の1週間を健康に生きた稚魚は針病になる可能性も低く、その後死亡する事も殆どありません。
しかし、まだまだ小さく捕食のリスクがあるサイズです。
生後半月程度までは隔離して育てた方がよいでしょう。
エサの与え方
大きくなるにつれ徐々に人工飼料にも慣れてきますが、所詮生後2週目。
人工飼料では満腹まで食べない稚魚も多くいるので、可能ならばブラインシュリンプを与えてください。
栄養価もありますが、ブラインシュリンプと人工飼料では食べる量が圧倒的に違います。
ブラインシュリンプではお腹がオレンジになってパンパンになるまで食べます。
しかし、人工飼料だと少ししか口にしない事も少なくありません。
繰り返しになりますが、稚魚の給餌量で今後の体格やサイズに大きく影響します。
サイズが違うということは産仔数にも関わってくるということです。
人工飼料オンリーで育てるならば、与える回数を増やすことでカバーしていきましょう。
また、多く与えても食べ残しで水を汚すだけなので、1度で与えるのは食べきれる量に留めてください。
生後3~4週目までの育て方
生後半月を超えてくると、明らかに成長が感じられるサイズになっていると思います。
エサの与え方によりますが、上手く飼育していれば成魚に食べられない程度には大きくなります。
隔離して育てている場合、手狭に感じてくるのではないでしょうか。
過密飼育は成長速度に悪影響を及ぼしますので、そろそろ水槽飼育を検討しましょう。
稚魚のみの水槽で育てるのがベストですが、この段階で親と同居させても大半は問題ありません。
同居の際は捕食されたり、齧られていないかよく確認しましょう。
もし稚魚が齧られてしまうのであれば、まだサイズが足りていないということです。
これは稚魚だけでなく成魚のサイズにもよりますので、各々の環境で検証してみてください。
産まれてくる稚魚のサイズにも差があり、一概に安全とも言えません。
心配であれば、まだ隔離飼育を続けても大丈夫です。
エサの与え方
積極的にエサを食べるようになるため、人工飼料オンリーに切り替えても問題ありません。
口も大きくなり、パウダータイプの人工飼料を卒業させて顆粒タイプに切り替えてもよいでしょう。
パウダータイプの人工飼料は水を汚しやすいですし、顆粒タイプの方が食べやすくエサの食べ具合が確認しやすいです。
私おすすめの人工飼料です。超微顆粒で稚魚に与えやすく水も汚しません。
産まれたばかりのサイズから成魚まで幅広く使えます。
とはいえ、可能であればまだブラインシュリンプで飼育したい時期です。
食事量も増えてくるので、人工飼料とブラインシュリンプを使いわけるのもよいでしょう。
生後5週目以降までの育て方
生後1か月を超えると稚魚から幼魚という新たなステージです。
早ければこの頃から少しづつ柄なども出始め、少しずつ成魚へと育っていきます。
この時期を過ぎても産卵ケースやプラケースで飼育し続けているのであれば、水槽飼育に切り替えましょう。
狭いスペースで引っ張りすぎると、過密になり成長速度が落ちます。
サイズこそまだまだ小さいものの、ここからは成魚と同じように飼育が可能です。
ここまで大変お疲れ様でした。
エサの与え方
幼魚からは成魚用の人工飼料や、赤虫といった大きめのエサを徐々に食べられるようになり幅が広がります。
食べ盛りで人工飼料でもよく食べますので、無理にブラインシュリンプを与えなくても問題はありません。
生後3か月程度までは引き続き給餌量が大切な時期です。
稚魚時ほど頻繁に与える必要はありませんが、少しでも回数多くこまめにエサを与えていくように心がけましょう。
まとめ
今回は稚魚の育て方について解説させていただきました。
グッピーの繫殖がいくら容易といえど、初めての方には沢山の疑問があると思います。
今回はそんな方の一助になればよいなと記事を執筆いたしました。
当サイトはグッピー特化ブログで、基本的な内容から少し踏み込んだ内容まで様々な記事を書いてあります。
興味のある方は是非読んでいってください。