グッピーコンテスト優勝を目指す男の飼育日記

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グッピーの鱗が逆立つ松かさ病の原因と治療法

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グッピーの松かさ病

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今回はグッピーに見られる病気の一つである松かさ病について解説していきます。

以下の症状に当てはまる方は松かさ病の可能性が高いので要注意です。

グッピーの鱗が逆立っている

グッピーが糞をしない&糸のような糞をする

グッピーの全身が濁って膨らんでいる&ギザギザしたように見える

松かさ病とは?

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松かさ病は一見すると皮膚病の様に見えますが、根本的な原因は内臓疾患の一つであることが多いです。

鱗嚢と呼ばれる鱗の付け根部分に水が溜まることで全身の鱗が逆立ちます。

グッピーでは同種の細菌感染症である腹水病を併発していることが多く、より厄介&致命的な病気です。

原因

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松かさ病の原因は腹水病と同じでエロモナス・ハイドロフィラ(運動性エロモナス)の感染によるものです。

エロモナス菌は常在菌である為に原因の排除は不可能で、伝染性はないものの日和見感染で発症します。

常在菌に感染する個体では抵抗力の低下が予想されますが、抵抗力の低下を引き起こしている原因であると推測できます。

この項では感染の原因となる様々なファクターを解説していきます。

1.ストレス

健康的なグッピーが体調を崩す原因として、ストレスの占めるウェイトは非常に大きいです。

代表的なものを挙げると…

・環境の変化

水温やPHなどの変化が急激に起こると魚には大きな負荷がかかります。

特に外部から導入した魚には大きなストレスがかかるので注意が必要です。異なる環境への移動にも注意が必要で、極力近い環境を用意したり、統一性を持たせることが予防にもなります。

・別系統との混泳

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これはグッピーに限った話なので、他の観賞魚種で困っている方はスルーして構いません。

グッピーでは血の繋がりが薄い系統やルーツの異なる系統、ブリードされた環境や場所が異なる系統において、一緒に混泳された際に病気への抵抗力を著しく損なうことがあります。

これについては諸説ありますが、安易に他所から来た系統を混ぜたり、器具を共有しないことが大切です。F1からは危険性が低下する為、それまでは簡素な設備で独立した環境下で飼育することをオススメします。

・網で追っかけたり、狭い場所に隔離するなどの行為

しつこく網で追いかけたり、産卵箱への隔離なども少なからずストレスを与えます。

水槽のガラス面を叩いたり、騒音や極端な高照度も極力避けた方が無難です。

2.古い餌

消費期限の過ぎた餌や、酸化して臭いの変化している餌はあげない様にしましょう。特に内臓で炎症を起こす当病気では一層の注意が必要です。

3.個体の虚弱性

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経験上、明らかにエロモナス性細菌感染症になりやすい系統は存在します。また、細菌感染症でなくとも鱗が逆立ちやすいという系統もあり、そういった系統は得てして鳩胸になりやすい傾向があります。

また、累代が進んで虚弱化が進んでいたり、ルチノーやサンセットの様に遺伝的に障害を抱えている可能性もあります。

4.水質の悪化

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言わずもがなですが、水質の悪化は個体の体調を崩させますし、底砂の汚れなどは病原性の細菌を繁殖させてしまいます。濾過がしっかりと効いていてもPHの低下は免れない為、定期的な換水が行う必要があります。

5.個体の老齢化

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私の経験上、松かさ病を発症する個体の殆どは平均寿命を超えています。つまりグッピーに限っては老齢化による日和見感染がこの病気の主な原因と思います。

特に老齢まで生きやすい雌の発症率が高く、比較的短命な雄で発症したことはほぼありません。

松かさ病の症状

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松かさ病の症状は冒頭で述べたように、グッピーの鱗が逆立ちます

この病気に関しては明瞭であり、その異常性にすぐ気づくはずです。個体の可視性が上がる為、画像の様に内部の炎症が確認できる場合もあります。

初期症状

基本的にこの病気は腹水病とセットで起こります。初期症状では鱗の逆立ちは認められない為、お腹が異常に膨らんでいないか、しっかりと糞をしているか観察してください。

中期症状

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中期になると透明な糞をするようになり、少しだけ鱗の逆立ちが確認できるかと思います。松かさ病としては初期段階とも言えますが、確実に死が見え始めてくる段階です。

腹水病自体が治療困難な病気ですので、この頃には既に治療は難しい段階です。松かさ病が確認できた時点で、腹水病も中期以降に差し掛かっていると考えて差し支えないでしょう。

餌は控えるようにと言われることが多いですが、消化器官が弱っている為、絶対に餌を与えてはいけません。与えた餌を消化できずに症状を悪化させるだけです。

末期症状
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鱗が逆立ち始めたが最後、ものの一瞬で鱗は完全に逆立ちます。酷いときは発症から末期まで24時間もかかりません。

末期ではグッピー松ぼっくりの様に膨らみ、見るも無残な姿になります。

松かさ病では末期に近くなっても元気なことが多いですが、死が近づくと遊泳を辞めた後に横転してしまうことが多いです。

この病気に関しては発症する前の前、腹水病の発生初期に発見することが望ましいです。

仮に松かさ病を発生してから気づいたとしても、少しでも原因の捜索や治療を施し次に活かせるように学ぶべきでしょう。

治療法

治療が非常に難しい松かさ病ですが100%治らないというわけではありません。私は一度だけ完治させ、産仔まで辿り着かせた事例があります。

何もしないよりはダメ元でも治療も試みることをオススメします

何事も経験です。

塩浴

グッピーの病気は初期段階であれば塩で治すことが可能です。

先述の通り腹水病は伝染する病気ではありませんから、水槽丸ごと対処する必要はありません。

水槽で塩浴すると濾過ができなくなってしまいますから、まずは病気の個体を1Lほどのプラケースに隔離してください。

次に塩を0.5%(1Lにつき5g)の濃度になるよう入れてください。

溶解させるのではなく塩が残るように入れるとグッピーへの負担が少ないです。

グッピーに元気があるなら最終的に0.7%程度にするのがオススメで、私が完治させた際は2%に近い高濃度の塩欲を行いました。

浸透圧調整を楽にして負担を軽くするための塩浴ですから、なるべくグッピーの体内塩分濃度に近くした方が効果的です。

薬浴

本来、細菌感染症へ絶大な効果を誇る薬浴ですが、エロモナス性の細菌感染症に対してはイマイチ効きにくいです。

松かさ病においては表面化する病気の為、少なからず薬効はあると考えられます。

それでも完治が難しい病気ですので、薬浴するのであれば薬効の強いグリーンfゴールド顆粒がオススメです。

グッピーがかかる病気の8割以上は塩とグリーンfゴールド顆粒で治せるほど抜群に効くので常備しておくことを強くオススメします。

ココア浴

申し訳ありませんが私はココア浴は行いません。

自己責任でお願いします。

まとめ

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松かさ病は非常にレアケースで、年に5000匹以上の生産量を誇る我が家でも一年に2、3匹程度しか見ることが出来ません。

この病気に関しては飼育に問題がなくても発生してしまう事がある為、頻発しないようであれば飼育環境を深く気にする必要はないと思います。それが老齢化した老魚であれば尚更です。

このページを読んでくださっている方の中には今現在松かさ病に悩まされている人もいるとおもいます。

不幸ではありますが貴重な経験と思って病気に向き合っていただけたら幸いです。

日々の観察を怠らず早期発見&治療ができるよう心がけましょう。