【全品種共通】基本的なグッピーの選別方法
グッピーは簡単に繁殖する魚で、何世代にも渡って子供を育てられることが一つの魅力です。
しかし、産まれてくるグッピーのクオリティを維持していくためには、親選びや選別が欠かせません。
何故なら、グッピーを何も選別しないで繁殖を続けていると、体形が悪くなったり、体質が弱くなってしまうからです。
また、きちんと正しい選別が出来ればクオリティの維持は勿論、自分好みに改良していくことも可能になります。
今回はグッピー飼育には欠かせない、グッピーの選別方法について紹介していきたいと思います。
グッピーを選別する意味
特に国産グッピーは、幾度の交配や選別を経てクオリティが成り立っています。
同じように例えば私が運営するショップでは、選別を重ねて改良させたグッピーを販売しています。
そんな改良品種であるグッピーを繁殖させると、産まれてくる子供は綺麗なものから平凡な個体、さらにあまり綺麗ではない個体や奇形までピンキリです。
では、これらの選別を一切しないで繫殖を続けるとどのようなことが起きるでしょうか?
奇形の発生
まず、一番の問題点は奇形の発生と蔓延です。
どんなに健常なグッピーからも、極稀に奇形が産まれてくることは避けられません。
奇形の個体は生殖能力や寿命には関係がない事もありますが、上手に泳げなかったり餌を取るのが苦手だったりします。
グッピーの奇形はかなりの確率で遺伝子しますので、このような個体が繁殖に参加することで奇形率がどんどん高くなり、健常な体形のグッピーが産まれてこなくなってしまいます。
虚弱化
虚弱になると内臓の病気にも罹りやすくなったりします
グッピーにも個体差があり、中には短命だったり体質の弱い個体も存在します。
このような弱い個体は自然界では淘汰されるのですが、飼育下では圧がかからないため生き残って成長することが出来ます。
また、グッピーは産まれてから性成熟するまでのサイクルが非常に短いので、体質に致命的な問題のある個体でも繁殖に参加する可能性があります。
このような個体が親になってしまうと短命化したり、病気に罹りやすくなってしまい、その時点でまともな飼育は出来なくなるといっても良いでしょう。
クオリティの低下
グッピーを繫殖させて綺麗な個体しか産まれないという事は絶対にありません。
ヒレにシミがあったり、柄が綺麗に入らない個体は必ず出てきます。
何も選別しないとこのような個体が繁殖に参加して、品種としてのクオリティが世代を経るごとに低くなってしまいますので、維持していくために選別は必要不可欠と言えます。
自分で改良を行う場合は、好みの親を選定して繁殖させ、産まれた子供をまた選別して少しずつ改良を行います。
グッピーの選別方法
本記事では全ての品種に共通する基本的な選別事項について紹介していきます。
健康なグッピーを維持していくためには、国産グッピーのみに限らず外国産グッピーでも同じ選別が必須です。
・体形
体形は線が真っすぐ通っていて、肉付きの良いがっしりとした個体を選びましょう。
特に気を付けなければならないのは背骨の湾曲で、グッピーでは体がへの字型に曲がってしまう奇形が発生しやすいです。
これは背曲がりと呼ばれる奇形の一種です。
グッピーに発生する奇形の大部分は背骨の湾曲によるものですので、背曲がりだけでも選別出来れば健康な子供を維持することは難しくありません。
また、グッピーの選別では尾筒の太い個体が良いと説明されがちですが、初心者の方は解釈を間違えて尾筒の短い寸詰まった個体を選びがちです。
尾筒が極端に短かったり、細い個体は遺伝して遊泳姿勢が悪くなりますので、親に使わないようにしましょう。
・遊泳姿勢
子供の中には上手に泳げない子供も少数出てきます。
原因は先ほどの奇形だったり、浮袋の障害(ベリースライダー)だったりしますが、いずれの原因でも遺伝することは確かです。
頭を上にして泳ぐ立ち泳ぎの個体は親にせず、平行に真っすぐ泳げる遊泳能力のある個体を親に選ぶようにしましょう。
・中性化
グッピーを繫殖させると極稀に中性化した個体が出てくることがあります。
中性化の見分け方としては、見た目はメスなのに卵巣がなく、いわゆる妊娠マークと呼ばれるものがありません。
また、他の兄弟よりもやたらと体が大きく、尻びれがオスのように尖っていたりすることもあります。
このタイプはそもそもの生殖能力がありませんので、体格の良いメスなどと勘違いしないようにしましょう。
・黒化(虚弱)
こちらも比較的多い障害の1つで、産まれた稚魚の中に黒ずんだ個体が出てくることが多々あります。
黒い個体は虚弱体質で、成長障害を抱えているおり、大きくなるのが遅いです。
成長過程で死んでしまうことも少なくありません。
また、かなりの確率で背曲がりかベリースライダーを併発しています。
親にしないのは勿論ですが、このような稚魚が多く産まれてくる場合、血が濃くなったりして体質が弱くなってきている可能性があります。
・成長障害
グッピーの稚魚を育てていると、兄弟よりも明らかに成長の遅い個体が出てくることがあります。
近親交配を続けているわけですから、代を経るごとにサイズが小さくなってくるのはある程度仕方のない事ではあります。
しかし、成長が極端に遅い個体は親から外すことで、矮小化を軽減することが出来ます。
成長障害の稚魚が多く産まれてくる場合は、系統的に弱くなってきているので、血の入れ替えや他系統との交雑を検討したほうがよいです。
・頭部の形
体形の選別が同じように、頭部の選別も大事です。
何故なら、頭部の形が悪い個体は遊泳姿勢も悪いことが多いからです。
おでこ部分が変にのっぺりしていたり、口先が詰まっている個体は選ばないようにしましょう。
極稀に顎が外れたように口が閉じなかったり、口がへの字型に潰れている個体もいるので、選別の際はしっかり見るようにしましょう。
グッピー選別漏れの管理方法
親に使えない選別漏れはどうしたら良いの?という質問があるかもしれませんのでお答えします。
S~M水槽がおすすめ
1番確実なのは小型水槽を3本使い、オスとメスを分けて別の水槽で育成。
残りの1本を交配用として繁殖を行う方法です。
つまり、選別漏れはそのままオスメス水槽で飼育し、繫殖に参加させません。
優秀な個体のみを親として選別します。
不本意にメスが産んでしまうことがありませんので、本などでもよく紹介されるメジャーな繁殖方法です。
しかし、グッピーは稚魚を捕食します。
ある程度の飼育数がいれば、産まれた稚魚の大部分は成魚に食べられてしまい、勝手に育つことはないでしょう。
つまり、産まれてくる稚魚が捕食される事に目をつぶれるのであれば、育成用水槽と交配水槽の2本だけあれば選別飼育は成り立ちます。
(飼育者がどんなに注意していてもグッピーの稚魚は知らない間に産まれて、食べられてしまうものです…。)
これだけでは分からない方もいるかと思いますので、次項で説明します。
グッピーの選別水槽
ここではオス水槽・メス水槽・交配水槽の3本で繫殖させる方法と、育成水槽・交配水槽の2本で繫殖させる方法を紹介します。
水槽の立ち上げ方はこちらの記事をご参考ください。
水槽3本で繫殖させる方法
水槽3本で繁殖させる場合、産まれた稚魚を生後一か月程度でオスとメスに分けます。
この時点ではまだ生殖能力を持っていませんので、オスとメスに分けてしまった時点で繫殖することはありません。
子供は産卵ケースを使用して回収し、その中で一か月程度育てて、またオスとメスに分けて育成というサイクルです。
成魚になったら再び親を選定し、交配用水槽に入れて繫殖を行います。
稚魚は産卵ケースで回収するのがおすすめ
水槽2本で繫殖させる方法
水槽2本で繁殖させる場合は、産まれた稚魚をまとめて育成水槽で飼育します。
生殖能力を持つサイズになったら勝手に繁殖が始まりますが、飼育数が多ければ親達に食べられて育つことはほぼありません。
成魚になったら同じように親を選定し、交配用水槽で繫殖を行い、産卵ケースで子供を採ります。
こちらの方法であれば水槽は2本で済みます。
サテライトと呼ばれる外付けタイプも便利です
ただし、この方法には一つ問題点があります。
それは繫殖水槽に入れてから暫くは父親が分からないという事です。
つまり、繫殖水槽に移してから産んだ子供でも、育成水槽の適当なオスが父親になっている可能性があるということです。
1か月間も混泳させれば新しいオスの精子で受精しますので、混泳開始から1か月間の産仔はスルーすることが必要です。
また、稀に複数のオスの精子で受精していることもあります。
どちらにせよ完全に精子が入れ替わったと断言できるまでは混泳から3か月ほどかかりますので、繫殖水槽にいれても暫くは子供を採らないほうが無難でしょう。
親がまだ若いのであれば、最低でも一回は産仔をスルーしたほうが良いと思います。
また、交配時期が早いほど子供を得やすいですが、その分善し悪しが見分けにくく選別が難しくなります。
どちらの方法でも生後4~6か月程度で親を選定するようにしましょう。
水槽についての記事はこちらをご参考ください。
まとめ
今回はグッピーの選別方法について紹介しました。
選別は系統を維持するだけでなく、虚弱や短命などの不幸な稚魚を増やさない事にも繋がります。
適当に殖やして奇形ばかりになってはグッピーの美しさが半減ですし、飼育のモチベーションも上がらないと思います。