グッピーを飼い始めて繁殖に悩む方は多いのではないでしょうか?
グッピーの繁殖に基本的な知識は欠かせません。
今回はグッピーの繁殖について基礎的な内容を説明します。
グッピーの繁殖
グッピーの繁殖は非常に容易です。
グッピーは母体の中で卵を孵化させ、直接稚魚を出産します。
この繁殖形態は卵胎生と呼ばれ、卵生の稚魚よりも初期サイズが大きく生存率に優れます。また、胎生よりも子供の数が多く、双方のメリットを併せ持ちます。
受精から約1か月後、メスは数時間かけ数十匹の稚魚を出産します。
グッピーが交尾する仕組み
ゴノポディウムは尻ビレが棒状に変化した器官です。
オスがゴノポディウムをメスの総排泄腔に挿入し、メス側に精子が送られることで交尾が完了します。
性成熟したメスは胎内に卵を抱え、メスのコントロール下で受精が行われます。
また、グッピーのメスはオスの精子を保存し、一度の交尾で約3回の出産が可能です。
グッピーの繁殖行動とは?
グッピーの交尾行動には、任意と強制的なパターンが存在します。
前者はオスがヒレを広げてアピールを試み、メスは交尾相手を吟味します。
後者ではオスがメスを追い回し、強制的な交尾を試みます。
水槽という狭い環境下ではメスの逃げ場がなく、大半の交尾は半強制的に行われていると考えられます。
交尾を意識し始めた雄はゴノポディウムを左右に振る動作をすることがあります。
これは交尾を行う素振りのようなもので、性成熟の過程で時折行うようになります。
グッピーの繁殖力について
グッピーは世代交代が早い為、非常に高い繁殖力を持ちます。
グッピーの稚魚は生命力が高く、捕食圧がかからない環境では爆発的に数を殖やします。
特に水量と餌に富んだ環境では無尽蔵に増え続けます。
しかし、成魚のグッピーは稚魚を捕食する特性がある為、水槽下では一定数でセーブされます。
このグラフは、1ペアのグッピーが毎月30匹、3か月間産仔し続けた場合に生まれる稚魚の匹数です。
次世代が繁殖に加わることで加速的に産仔数が増え、11ヶ月目には10万匹を突破しています。
水槽下では親から捕食圧がかかるのでグラフの様に増えることはまずありませんが、全ての稚魚が交配に参加するとこのペースで増加します。
ただし、稚魚を隔離したり、隠れ家が豊富な環境下では近い事が十分起こりえます。
このグラフでは計算の都合上、産仔数と産仔可能月数を実際よりも低く見積もっています。
グッピーは何匹繁殖する?
グッピーは一度の繁殖で平均30~50匹の出産を行います。
産仔数はメスのサイズと産仔の経験回数、そして蓄えた栄養の量に依存します。
性成熟した若いメスの初産では10匹程度の稚魚しか産みませんが、手練れのメスは100匹以上産仔することも珍しくありません。
一般的な飼育をした場合の平均産仔数をグラフにしました。
生後3~5か月は成長が著しい為、比例して産仔数も増加しますが、7か月以降は成長が鈍化していきます。
生後8か月以降も産仔数を増やしていくには、多量の給餌に加えフルサイズ(約7センチ)と呼ばれる巨大なメスを育て上げる技術と手間が必要です。
私がこれまでブリードしてきた中での最高記録は160匹です。
グッピーが繁殖しない時の対処法
グッピーが繁殖しない原因の多くはオスにあります。
繁殖しないという事は前提として交尾が成功していません。
そこで水槽を小さくして交尾の成功率を高める。
或いはオスの数を増やし、交尾の試行回数を増やすことで大半は解決できます。
また、いくら繁殖が容易なグッピーとはいえ、水温や水質などが安定した飼育環境は繁殖に必要不可欠です。
また、グッピーには交配が難しい品種が存在します。
例えばアルビノ(RREA)品種は視力が低く、オスの追尾能力が極端に低くなります。
他にも雄が生殖能力を持たないリボンやスワロー、スーパーセルフィンなど、元々繁殖能力に欠けた品種も存在するので注意が必要です。
また、不必要に大きい水槽では雄が雌を追い切れず、交尾の成功率が低下します。
飼育者の気づかない所で産仔は行われているものの、産まれて直ぐに食べられてしまっているケースも多いです。
これはメスのお腹の膨らみで判断できます。日々の観察を心がけましょう。
確実に稚魚を回収したい場合は産卵箱の使用がおすすめです。
レアケースではメスが中性化して不妊の場合があります。
メスなのに派手だったり、尻ビレが尖っている場合はこちらを疑ってください。
グッピーが繁殖しすぎた時の対処法
繁殖に苦戦する人が多い一方で、高い繁殖力に困っている人も少なくありません。
グッピーが繁殖しすぎた時の対処法は2つあります。
1つ目は現状のグッピーを飼いきれる環境を整える事です。
水槽を増設しキャパシティを調整するだけで現状は解決します。
2つ目はグッピー自体を減らす方法です。
グッピーが増えすぎてしまう事例は珍しくなく、グッピーの譲渡やショップへの引き取りがメジャーな対処法となっています。
グッピーを混泳する以上、産仔は避けられません。
繁殖を未然に防ぐこと事が一番の対処法です。
グッピーを繁殖させない方法
グッピーの繁殖を防ぐ方法は2つ存在します。
1つ目はオスメスを隔離する方法で、グッピーの受精事態を防止します。
グッピーが性成熟する前に分ける事ができれば確実性のある方法ですが、交配を済ませたメスには即効性がないので注意が必要です。
2つ目は稚魚が育たない環境を作ることです。
水草や置物などの隠れ家がない場合、生まれた稚魚の殆どは親魚に食われ育つことはありません。ただし、全てのグッピーが稚魚を食べる保証はなく、確実性に欠けます。
グッピーの繁殖条件
グッピーの繁殖条件は緩く、基本的にはオスメスを混泳させるだけで繁殖します。
性成熟したオスメスが揃っている事と、グッピーが健康でいられる環境である事が最低限の条件です。
グッピーの繁殖時期はいつから?
グッピーは生後約3か月で性成熟し交尾を行います。
グッピーは一生涯を通じて繁殖が可能です。
しかし、オスは生後6か月をピークに精力が低下し、交尾が成立する可能性は徐々に低下します。
メスはストックした精子が尽きない限りは毎月産仔を行い、寿命間近まで繁殖が可能です。
老齢のメスは産仔後にお腹が極端に痩せてしまう事があります。その場合は多量の給餌を行うことで再び抱卵する可能性があります。
グッピーの繁殖に適した温度
グッピーは適水温の幅が広く、ある程度の低水温~高水温下でも繁殖を行うことが出来ます。
高水温下では産仔の周期が早くなり、低水温下では周期が遅くなります。これは卵の孵化にかかる日数が関係しています。
高水温は効率的に見えますが、奇形の発生が多くなるので一概に良いとは言えません。
適水温である25度から±3度を目安に調整してください。
グッピーの繁殖に適した餌
グッピーを繁殖させるには、メスに栄養価の高い餌を与えることで、より多くの卵を抱えさせることが出来ます。
メスを太らせるには活き餌が最も適しており、嗜好性と栄養価に優れます。
嗜好性は劣るものの、冷凍餌も同等の栄養価を持ちます。
人工飼料でも繁殖は可能ですが、繁殖に適した商品を選ぶ事と日々の給餌が大事です。
活きイトメ
コストを度外視できるのであれば、活きイトメは間違いなく最適な餌です。
飛びぬけた嗜好性と増対効果を持ち、水槽に入れたままの状態で最高率の給餌を行うことが出来ます。
管理の手間とコストはかかりますが、一度はその効果を試していただきたいです。
冷凍赤虫
総合的なバランスを考慮すると冷凍赤虫が一番のおすすめです。
活き餌には劣りますが、人工飼料よりも嗜好性が良く太らせる能力が高いです。
コスパと実用性に優れます。
人工飼料
手軽さとコスパを重視するのであれば、人工飼料に軍配があがります。
人工飼料を使用するのであれば、脂肪分の高い餌が特に有効です。
栄養価だけでなく、嗜好性を兼ね備えた商品を使いましょう。
グッピーの繁殖におすすめの水草
グッピーの稚魚を確保したい時は産卵箱を使用するのが確実ですが、水草を茂らせることで鑑賞用の水槽でも繁殖は可能です。
グッピーに適した水草はいくつか存在しますが、稚魚の隠れ家としておすすめできるのはウォータースプライト、ウィローモス、マツモの3種類です。
これらはグッピーの好む水質に適応し、稚魚の隠密に役立ちます。
植える必要性がなく、管理のしやすさもグッピーの繁殖に適しています。
ウォータースプライト
ウォータースプライトはグッピーブリードの定番です。
グッピーが好む水質で良く育ち、柔らかい葉はグッピーのヒレを痛める心配がありません。
生い茂る根と葉の隙間が稚魚の隠れ家になります。
現在のウォータースプライトはクセがあり、水草育成の経験がない方には少し難しいかもしれません。更に浮草と化した半水中葉は入手手段が限られます。
ウィローモス
苔の一種であるウィローモスは育成が容易で、光量と水質にうるさくありません。
生い茂ったウィローモスの隙間は絶好の隠れ家になります。
水草の育成経験がない方には、間違いなくこちらをおすすめします。
マツモ
マツモは繁殖スピードが速く、ウォータースプライトよりも育成が簡単なメリットがあります。大量に茂ったマツモは稚魚の保護作用に優れます。
ウィローモスよりも水質浄化作用が高く、愛用者も少なくありません。
観賞よりも繁殖を重視するのであればおすすめです。
まとめ
今回はグッピーの繁殖形態や基本情報について紹介させていただきました。
グッピー飼育は楽しいですが、計画的に繁殖をコントロールし、むやみに増やさないようにしましょう。
グッピーの繁殖にチャレンジする方が一人でも増えてくだされば幸いです。