グッピーの尾びれが切れる・割れる・裂ける原因と対処法
グッピーを飼育していると、突然尾びれがカッターで切ったようにスパッと裂けてしまう事があります。
今回はグッピーの尾びれに生じる裂傷について解説していきます。
尾びれの裂傷とは
グッピーは尾びれの大きさがある種のトレードマーク。グッピーの遊泳はヒラヒラと表現される様に、その尾びれはしなやかで柔らかいです。
それ故に他の魚と比較してもグッピーの尾びれは強度に欠け、尾びれのトラブルが非常に多い魚種と言えます。
そんなグッピーの尾びれに生じるトラブルは主に2つ、溶ける或いは切れる(裂傷)です。
溶ける症状についてはこちらの記事で解説しています。
始めに、グッピーの尾びれが何故スパッと裂けてしまうのか説明します。
グッピーのヒレには柔条(なんじょう)という筋のようなものがいくつも通っており、条の間は膜の様になっています。これは傘やうちわ、扇子を想像していただくと非常に分かりやすいです。
つまりグッピーの尾びれには体と平行に条が通っています。その為、必ず条を経由する縦方向に切れる事はほぼありません。
しかし、横方向の切り傷に対しては条のない膜の部分のみが切れてしまう事になる為、いとも簡単に裂けてしまいます。尾の柔らかさも相まり、これがグッピーの尾が裂けるように切れてしまう仕組みです。
グッピーの尾びれが切れる・割れる・裂ける原因
グッピーの尾びれが切れる原因は何れも物理的なダメージであることは間違いありません。しかし、その原因に心当たりがない人も多いのではないでしょうか。
そこで、次はグッピーの尾びれが切れる大元の原因について解説していきます。
水草や置物に擦れた
グッピーの尾びれが切れる原因として最も多いのがグッピーの無意識的な接触事故です。
ミクロソリウムやアヌビアスナナなどの固い葉を持つ水草や、尖った障害物などに尾びれが擦れることでスパッと裂けてしまった…と言った事例が最も多いと思います。
対策としてはこれらのものをそもそも置かないようにする他ありません。
葉の柔らかいウォータースプライトがグッピーに良しとされるのもこれが1つの理由だったりします。
他のグッピーに突かれた
グッピーのメスは産仔が近づいてくると狂暴性が高まり、近くにいるグッピーを突いて追いかけまわすことがあります。特にグッピーのオスはメスを追いかけたがりますので、この際にオスは逆に突かれて尾びれを切られてしまう事があります。
例え突かれて切れた部分がごく一部であっても、グッピーの場合は後々尾びれの先端まで裂けてしまう事が多いです。
また、大きい個体ほど縄張り意識を持ってしまう事があるので注意が必要です。
産仔の近くなったメスはしっかりと産仔ケースなどに入れて隔離するようにすることで、稚魚を確実に回収しながら他の個体を守る事にも繋がります。
網で掬う際に引っ掛けた
網で掬う際に切ってしまったという事例も少なくありません。
ガラス面に添わせるように網を使ってしまうと尾びれを巻き込んで切ってしまったり、酷ければ割れるように大きく欠落してしまう事もあります。
特に条を2本潰したり折ってしまうと、その間の膜部分が丸ごと欠損してしまいます。網を使用する際はなるべくガラス面を使わず丁寧に掬うようにしましょう。
また、目の荒い網はグッピーの尾びれを巻き込んで切ってしまう可能性がある為、目の細かい網の方が安全です。
病気の可能性
グッピーの尾びれがスパッと切れるのではなく、ギザギザと割れるように切れてしまった場合は尾ぐされ病の可能性があります。物理的な欠損と尾ぐされ病は見た目で簡単に判別できますので、こちらの記事も参考に照らし合わせて見てください。
水流が強い
改良品種でヒレが大きいグッピーは遊泳力の高い魚ではありません。外部フィルターなどの強い水流によって無理な力がかかるとヒレが折れ、裂けてしまう原因にもなりますので、水流を弱めたりして対策を行ってください。
こういった意味でもグッピー飼育にはスポンジフィルターや底面フィルターなどがおすすめです。
系統的に裂けやすい
これはレアケースですが、何故かヒレの一部が割れるようにポロっと取れてしまう系統が極稀にいます。
そういった系統はヒレが薄くて切れやすくなっているか、尾びれの開きに対してヒレの伸びが耐えきれず裂けてしまっている可能性が考えられます。
対策としては血の入れ替えが挙げられますが、滅多に起こる事ではないのであまり気にしなくてよいかと思います。何匹も自然に裂けてしまうようでしたら、新しい魚を購入して掛け合わせることで改善することがあります。
尾びれが箒のようになる、メラーという遺伝子も存在します。
グッピーの尾びれが切れた時の治療法
もしグッピーの尾びれが切れたとしても、生命活動に支障をきたすことはありませんのでご安心ください。
また、グッピーの尾びれが物理的に裂けてしまうのは病的なものではありませんので、基本的に治療も必要ありません。
傷口周辺に充血が起こっていたり、水カビ病などの二次感染が心配でしたら、予防として塩水浴や薬効の弱いメチレンブルーで治るまで様子を見ても良いでしょう。
塩水浴
尾びれの裂傷に対して塩水浴を行う場合は、傷口からの二次感染を防ぎつつ、グッピーの浸透圧による負担を軽減する事が目的です。
塩水浴を行う事で浸透圧調整に無駄な体力を使わない分、尾びれの再生が期待出来ます。
これまで、グッピーが病気にかかった際の塩分濃度は0.5~0.7%と説明してきました。
グッピーの負担軽減という意味では、グッピーの体内塩分濃度に近い0.7%の塩浴が良いのですが、それでは濾過が充分に出来ず通常の飼育が難しくなります。
また、尾びれの再生には給餌して栄養をとった方が良いと思いますので、塩水浴は0.1~0.3%の薄い濃度で行う事をおすすめします。
薬浴
傷口から水カビが生じていたりする場合はメチレンブルーで薬浴を行います。
水草などを枯らしてしまう為、グッピーを1Lほどのプラケースに隔離し、規定量の薬浴を行います。
裂けた尾びれが戻らなくても、水カビ自体が治癒したら本水槽に戻しても構いません。
戻した後は再感染を防ぐため、水質管理に一層気を使ってください。
グッピーの尾びれは再生して治るのか
完全に裂けた状態から再生して治り始めた様子
グッピーの尾びれが切れた場合、元に戻る確率は五分五分といった所です。
というのも、裂けた尾びれがくっついて再生する確立は月齢に大きく左右されます。
ヒレがぴんと張っている若魚であれば高い確率で元通りに治って跡も残りません。
成魚の場合は元に戻ることもありますが、先端までは完全に再生しきれず一部凹んだままという事も多いように思います。
老魚では治癒能力が足りず根元が少しくっついただけ、場合によっては全く治らずそのままという事も珍しくありません。
これに関しては個体の再生力に委ねるしかありませんので、安静な状態で見守りましょう。
完治しないパターン
裂けるだけならよいのですが、このように幅広く欠損してしまうと十中八九完治はしません。これは尾びれが裂けたのではなく、条が折れてしまった際に起こりやすい症状です。
先端まで元通りというわけにはいきませんが、根元の方からじわじわと再生する事はありますので、同じように安静にして見守ってください。
まとめ
今回はグッピーの尾びれが切れる・割れる・裂ける症状について解説させていただきました。不慮の事故でいつ起こってもおかしくない為、事前に知識を付け冷静に対処できるようにしておきましょう。
他の病気についても解説している為、対応できるように学んでいってください。